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~新潟市にあるグリーフケア(ご遺族のケア)と、闘病中のご家族を持つ方のサポートのためのオフィス~


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「子どもに死をどう教えたらいいか」 『さよなら エルマおばあさん』あとがきから

先日ご紹介した「エルマおばあさん」。
ちゃんと読んでみようと思って、写真絵本『さよなら エルマおばあさん』を買いました。

写真に文章が添えてある、とても読みやすい本ですが、いまを生きるためにも学ぶところがたくさんある本でした。
ホスピス研究会代表の委羽倭文子(きば しづこ)さんがあとがきを書かれていますので、そちらから引用をして中身のご紹介をいたします。

・・・・
「子どもに死をどう教えたらいいか」 (あとがきから引用)
 この本は、エルマおばあさんが、がん(多発性骨髄腫)の告知を受けてから亡くなるまでの日々を、愛猫スターキティの目を通して語っています。猫の見たおばあさんの姿をカメラのレンズがとらえ、死が訪れるまでの身体の変化をとてもリアルに写し出しています。

 死を認識したエルマおばあさんがリビングウイル(終末期医療の受け方の意思表示文書)に署名し、身辺整理を行い、親しい人々に別れを告げる様子も伝えています。
 
 また、死ぬ瞬間はおだやかなことを写真がしっかり表現をしていますが、このように死が訪れることを大人でも知らない人が多いと思います。

 日本の社会では死について語ることを今でも避けています。「死を語るのはタブー」という暗黙の了解があるのです。                                           
 しかし、大人がかくしても、子どもたちは本能的に異常事態が起きていることを感じるものです。その結果、子どもの心には深い傷が残ってしまいます。また、親に見捨てられたと思い込むこともあります。・・

 子どもの年齢によって死の説明のしかたは異なりますが、だいじなことは、なんでも話し合い、文句を言ったり、泣いたりできる親子関係を持つことです。子どもに安心感を与えるためには、子どもの心を理解しようと努力することが必要です。・・

 この本は、死に至るプロセスと死そのものを、カメラのレンズを通してしっかり伝えています。子どもたちだけでなく、お父さんお母さんにも、ぜひ読んでいただきたいと思います。そして、子どもといっしょに「人の命には限りがあり、だれにも必ず死を迎えるときがくること」や「死が訪れる瞬間は苦しくないこと」を話し合ってほしいと思います。

・・・・

委羽さんが書かれているように、私たちの普段の暮らしのなかで死について口にすることは、ほとんどの場合ありません。

それは死をタブーとする日本の慣習においてはごく普通のことだろうと思うのですが、それは、「大事な大事な存在なのに、“この世における命がある”という状態ではない」というだけで、「口にしてはいけない存在」にしてしまう、ということも意味しているように思います。

それはとても残念なことであるように私は思います。
目に見える命ではなくとも、家族であり、友人であり、大切な存在であることに変わりはない。
そうであれば、以前と同じように声に出してそのひとに語りかけ、そのひとへの思いを、ごくごくふつうのこととして口に出す。
それがとても自然なことのように思います。

書店でこちらの本を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。
今年一冊目の本のご紹介でした。

「子どもに死をどう教えたらいいか」 『さよなら エルマおばあさん』あとがきから_d0300787_1703891.jpg

by griefcare | 2015-01-20 17:00 | ◆アドバイザー日記

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